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■ 合成宝石は見破れるか?

以前、何かで読んだ話ですが、骨董店に新人が入ると、一年間ぐらい、毎日、本物の優れた骨董品ばかりを見せるそうです。
そして、ある日突然、とても精巧な贋作(ニセモノ)を見せて、そこで、その新人が「なにかおかしいと思うんですが…」とか言ったら合格、「いいものですね」と言ったら不合格で、眼力を養う訓練を続けるんだそうです。

宝石商にも同じような話がありまして、10年ほど前に私が商品の検品をしていた時、18金製の指輪に留められたシトリン・トパーズ(黄水晶、透明で黄金色の綺麗な宝石)が、なにかおかしいと感じました。
具体的にはどこもなんともないんですが、どうしても何か違和感がありました。
ほかのものは誰もおかしいと思わなかったんですが、私自身はどうしても納得がいかず、とうとう、その石を指輪の枠からはずして、ある鑑別機関の大阪支社に鑑別に出しました。
数日後、その鑑別機関から「大阪支社の鑑別機械ではわかりません。東京本社に良い機械があるので、東京へ送ります」と連絡がありました。
そして、それから1週間後に鑑別結果の連絡が入りました。
結果は合成ゴールデン・サファイア、合成コランダムでした。
(コランダムと言う宝石の中で赤い色をルビー、その他の色をサファイアと呼びます。)
考えようによっては、アメジストやシトリン・トパーズなどの水晶の硬度7に対して、サファイアは硬度が9と硬いですから、合成であると言うことを納得の上なら、これはこれで良い石かも知れません。
しかし、せっかく合成コランダムを造るのなら、もっと高価なルビーやサファイアを造ればいいのに、不思議ですね。

ともかく、誰でも経験があると思いますが、人には理屈抜きで直感が働く時と言うのがあるみたいです。
ちなみに、世界のどこかで合成宝石が造られると、世界のどこかの鑑別機関がその見破り方を発見して発表しますが、どうしても後手後手になります。
科学や医学に限らず、現場では直感に頼らざるを得ない場面はたくさんあります。


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左・合成ゴールデン・サファイア 右・シトリン・トパーズ


☆*:・°★:*:・°

■ サファイアの青い理由

以前、ルビーが赤い理由をお話しましたが、今回はルビーと同じ宝石、コランダムに属するサファイアについてです。
コランダムと言う宝石は鉱物としては酸化アルミニウムで、これに微量の酸化クロムが含有されることによって赤い色のルビーになります。
ではサファイアはどうかと言うと、厳密には結晶構造の違いなども影響しますが、酸化アルミニウムの中に微量の鉄分とチタンが含有されることによって、あのきれいな青い色、サファイア・ブルーになります。
ちなみに、サファイアの色はゴールデン・サファイアやバイオレット・サファイアなどのファンシー・カラーをのぞくと、薄い濃いにかかわらず、純粋な青い色が理想で、少しでも黄色が入って緑がかったものはガクンと価値が落ちます。
不透明なものや、不透明で暗いもの、黄ばんで緑がかったものは避けましょう。
色が濃いのと暗いのとは違います。
また、色の濃いものほど、黄ばみが見分けにくいので注意して下さい。
良いものは濃い色をしていても、明るい青色の底光りがキラキラと鮮やかでとても綺麗です。
あと、色の薄いものでも、色を濃くするための加熱処理をしていない非加熱のサファイアは自然な色合いが美しく高価です。

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ブルー・サファイア(非加熱) 11.292ct  ダイヤモンド 0.52ct


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